大谷翔平も危惧する「二刀流の寿命」…3度目手術なら「配置転換」と投手断念示唆の波紋
球速と肘の負担は比例する
肩、肘に負担を与えるマイナス材料は多くある。例えば、本人が番組で触れたメジャーの新ルールもそうだ。今季から導入されたピッチクロック(投球間隔制限)について、「そこが慣れないというか、(試合に)出続けるうえで、ちょっと疲労がたまりやすくなるかなと感じていたので、改善の余地があった」と、走者なしの場面で15秒以内、走者がいる場面で20秒以内に投球動作を始めなければならない新ルールが負担になったと振り返った。
今季の大谷は、スライダーよりも曲がりの大きい「スイーパー」を多投したことが右肘にダメージを与えたと指摘する米国の専門医は少なくない。これに関して大谷は「僕の感覚としては一番は球速。球速が上がると、肘にかかる力が変わる。球速の上昇が主な原因かなと思う」と自己分析した。
「今季から導入されたピッチクロックによる因果関係は定かではないため今後、検証すべきでしょう。大谷選手が右肘を痛めたのはむしろ、靱帯の負担に比例する球速です。ボールにかかる人さし指と中指の腱は浅指屈筋といって肘の内側につながっており、肘内側側副靱帯とも連結しているため、大谷選手が投げる160キロを超える速球や『スイーパー』などの球種では肘の内側の筋肉や靱帯に大きな負担が生じるのです。肘の靱帯が緩むと腱を痛めるだけでなく、骨棘ができて遊離軟骨(通称ネズミ)なども引き起こすため、靱帯以外にも悪影響を及ぼします。ドジャースの首脳陣も大谷選手の投手復帰後は起用法に慎重にならざるを得ないと思います」(木田医師)
ただでさえ、前人未到の二刀流は心身への負担が大きく、消耗が激しい。食事に細心の注意を払うなどストイックな生活を送っているうえに、鍛え抜いた体であってもWBCからのフルスロットルで臨んだ今季はシーズンを全うできなかった。
木田医師も指摘する通り、打撃だけでチーム貢献できるだけに、二刀流は35歳まで継続できれば御の字かもしれない。