「セーヌ川」は「お台場」と同じ過ちを犯すのか…どちらも下水道流入による水質問題
宿敵に先を越された形のイダルゴだが、市当局の発表には詳細がない。大事なことは、「泳いでみせる」ことを競うより、水質検査の具体的な数字でセーヌ川の懸念をクリアすることだろう。
折しもネットフリックスが「セーヌ川の水面の下に」という映画を配信した。環境汚染の影響でサメがセーヌ川に侵入、主人公の環境活動家が市長に諫言するも、セーヌ川で行われるトライアスロンのイベント成功を思う市長は「対策は十分」と強行。果たしてその結末は? 配信初週に93カ国でTOP10入りした映画だが、まさにパリ五輪開会1週間前のこの時期、セーヌ川問題への警鐘に響く。
■「巨大な世界規模の下水道」
思い起こせば東京五輪2020、同様のことが起きていた。「泳げるお台場」にすべくマラソンスイミングとトライアスロンの会場としたが、下水道施設の改善という根本的な対策を取らず、「水中スクリーン」や「神津島の砂」といった対症療法で応じた。今、お台場海浜公園は遊泳禁止である。
パリ五輪後にセーヌ川が泳げる川になっているかどうか、それがパリ五輪を評価する重大な視点となるだろう。イダルゴは昨年11月にX(旧ツイッター)を退会した。「Xは憎悪や偽情報を広め民主主義を破壊する『巨大な世界規模の下水道』と化している」と批判して。イダルゴは本気でパリの「下水道」に取り組むべきだ。