大谷の投手リハビリ本格化は打撃に大いにプラス!日本ハム栗山前監督が語っていた「二刀流のメリット」
「彼にとって本質は二刀流」
その一方で大谷は、「(運動量が少ないことと)プラス、やっぱり毎年毎年、経験を重ねるごとに自分の中でもバッターとしても成長できてるので、そこがいい成績に結びついているのかなとは思います」と、打者としての進化も口にしていた。投手をシャットダウンすることだけが好調の理由ではない、と言いたかったのだろう。
「むしろ投手のリハビリが進み、二刀流復活が近づくにつれ、打撃の調子はさらに上向くのではないか」と言うのは、さる球界OBだ。
「大谷は日本ハム時代から二刀流をこなすことが『自分らしいリズム』と口にしてきた。投手、打者のどちらかの調子が良くなることで、もう一方のパフォーマンスも上向くなど、相乗効果を生んできた。何より、大谷は二刀流での完全復活が最大のモチベーションになっている。実際、メジャー1年目の18年は、6月上旬に右肘靱帯の部分断裂が見つかり、投手を封印。7月上旬に打者として復帰したものの、故障の影響もあって7月は打率.203、3本塁打、5打点と低調だった。ところが、7月下旬にキャッチボールを再開してからは復調し、8月は61打数20安打の打率.328、6本塁打、18打点をマーク。昨年までの6年間を見ても、8月の成績は18年が最も優れています」
大谷は同年オフにトミー・ジョン手術を受けたものの、「ピッチャーの調整も入ってきているので、そっちの方が自分らしいリズムだからだと思う」と話していた。あくまで、投手のリハビリ再開が打撃に好影響をもたらしたと受け止めていたのである。右肘手術で打者に専念した翌19年も、キャッチボールを再開した5月14日に1号本塁打を放ち、そこから調子を上げている。
日本ハム時代の恩師である栗山英樹前監督(現球団CBO)は昨年末、二刀流の相乗効果について、こう言っていた。
「(打者に専念して前年より成績を落とした)19年もそうでしたけど、意外とひとつに絞ったときに、それが本当にいいかどうか。彼にとって本質は二刀流。ひとつに絞ったから数字が思い切り上がるかといえば、必ずしもすぐにそうはならない可能性が、本人ともいろいろ話す中である」
「二刀流が彼(大谷)を生かしているし、彼のモチベーションを上げている。難しいことをやり続けることが彼の進化を止めないことだと僕は思っている」
今年の8月は、15日時点で打率.167、5本塁打、10打点と調子を落としている。19年は、9月に以前から異変を感じていた左膝を手術し、残り試合を欠場したものの、今年は右肘以外に体の不安要素は見当たらない。
ポストシーズンで一度もプレーできなかったエンゼルス時代とは違い、チームはプレーオフ進出が確実で、モチベーションは高い。そこに投手としての復活が近づけば、「打者・大谷」に追い風が吹く可能性は十分にありそうだ。