《長谷川勇也の巻》三冠王も認めた「鷹のソクラテス」でも…思い出すのは皆をヒヤヒヤさせた右翼守備
チームの雰囲気を変えるのもうまく、時折見せていたヘッドスライディングはナインを鼓舞する目的もあった。20年の巨人との日本シリーズ第3戦のそれが象徴的でした。すでにソフトバンクが2勝し、2点リードの六回、長谷川が凡打で一塁にヘッドスライディング。しかし、アウトとなり、長谷川は悔しさのあまり、グラウンドを叩き、しばらく起き上がれなかったくらいです。
普通に考えれば走り抜けた方が速いし、当時35歳の長谷川がそこまでやる必要はないと言えば、それまで。しかし、気持ちが入ったプレーで何とかチームを盛り上げようという思いがあったからこそ、頭から滑り込んだのです。
そんな男ですから、若手への苦言も歯に衣着せない。「今の子はいいですよね。(練習を)やらなくてもいいんですから」と言ったこともありますが、それだけ自分を追い込んできた長谷川だから言える言葉でもある。現在は動作解析などを担当するR&Dスタッフとして、縁の下からチームを支えています。
次回はモイネロの話をしましょう。