著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

野球賭博で永久追放ピート・ローズの意外な素顔…酒、たばこどころか、自分の顔がラベルのソーダ水も飲まず

公開日: 更新日:

 だが、レッズの監督在任中に自らのチームを対象として野球賭博を行っていたことが発覚し、1989年に球界から永久追放となったことで、ローズは野球人としての名声を失う。

 当然と思われていた野球殿堂への選出は、処分によって資格を喪失している。コミッショナーが交代するたびに処分の解除を求める書簡を送り、「自分にとって野球殿堂が何であるか毎日考えている」と名誉の回復を渇望する気持ちを書き記したものの、生前にはいずれも実現しなかった。

 殿堂入りした選手の中には「彼が選ばれるなら自分は殿堂を出る」という者もいたのだから、ローズの復権は非現実的であった。

 さらに、イチローが2016年に日米通算4257安打を記録した際や今年3月に大谷翔平ドジャース)の元専属通訳による違法賭博問題が発覚すると、報道陣の取材に対して「日米合算に意味はない」「1970、80年代に通訳がいれば無罪放免だった」と発言しており、ローズの奔放ともいえる態度が注目されることになった。

 ただ、出身地シンシナティで経営していたレストランで、従業員が「ハッスル 14」と自らのアダ名と背番号を染め抜いた制服を着ていたのは、著名な選手が過去の名声に頼った結果ではなかった。むしろ、野球そのものへの愛情の強さと、野球こそが存在意義を証明するものであるというローズの変わらぬ姿を示していた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末