引退したナダルのパワーと闘志…「メンタルトレーニングをやっているか?」には驚きの回答も
腕力もさることながら、ラファの強さは並々ならぬ闘志だった。デ杯代表としても貢献し、サッカー大国の母国を熱狂させた。スペインが初優勝した2000年に国旗係を務める14歳のラファの映像が残っているが、その4年後の04年、地元セビリアのサッカー場での米国との決勝で、世界2位だったロディックを3時間40分の激闘の末に倒した。史上最高、2万7000人の大興奮はテニス文化を変えたとさえ言われたものだ。コーチは叔父のトニー、もうひとりの叔父でスペイン代表にもなったFCバルセロナのミゲル・アンヘルにプロ精神を教わった。故郷のマジョルカ島から拠点を移さず、一貫したファミリーの結束でコマーシャリズムを回避、マイペースを維持したのが闘魂の土台であり成功の柱だった。
2度来日し「メンタルトレーニングをやっているか」という質問が出たことがある。通訳に何度も聞き直し、眉間にしわを寄せ、怪訝な顔をして答えた。
「メンタルはトレーニングするものじゃないよ」
かなわないと思った。