プロ野球選手の短命化ますます進む…濫用される育成制度はもはや「クビまでのワンクッション」
05年オフに育成制度が導入されて以降、この育成落ちは多くて年に10~20人台。12球団で計1ケタの年もあった。それがここ3年は毎年40人以上と激増している。昨年、育成落ちが最も多かったのはソフトバンクの10人。次いで巨人の8人で、他球団でも4~5人が支配下から育成契約に“降格”しているのが現状だ。ちなみに22年は巨人の13人が断トツである。
あるパ球団のフロントが「本来、選手のクビを切るのは簡単なことではない」と、こう続ける。
「米国の映画『マネーボール』では容赦なくバッサリ切っていましたが、日本はそこまでビジネスライクにはなれない。その選手が在籍していた高校、大学、社会人チームとの関係もありますからね。それが育成制度の導入で変わりつつある。高卒2、3年目の若手でも、躊躇なく育成契約を前提とした戦力外通告ができる。本来の育成制度の用途とは異なるが、いわばクビまでワンクッション置いた戦力外予備軍という使われ方です」
もちろん、育成落ちから這い上がる選手もいるが、決して多いとは言えない。支配下枠でいられるだけマシ──そんな時代になりつつある。