「らんる曳く」佐々木中氏

公開日: 更新日:

■「僕の小説は食える人には食える納豆みたいなもの」

 独特な文体とリズムに気おされる。難解と捉える人もいれば、心をわしづかみにされ、とりこになる人も。

「僕は難しい文章を書いているという意識はまったくない。そもそも万人に読みやすい文体など存在しないし、幻想だと思う。僕からすれば、産経新聞のコラムのほうがよっぽど難解ですよ。『原発が効率のよいエネルギーであることが嘘だとわかり、ウランも輸入に依存している。(中略)だからこそ原発を推進しなければならない』と書いてある。論理が破綻していて意味が分からない。僕の小説のほうが断然読みやすいでしょう?(笑い)」

 主人公は2年前に妻を亡くした男。絶望的な喪失感に苦しみながら「生きることの意味」を体感していく。心情描写はなく、フィジカルな描写が苦しみをより倍増させる。

「内的独白やら心の叫びやらを文字にするなんてくだらない。そういうものを読みたい人は村上春樹や百田尚樹をどうぞ。独白では伝わらないようなものがあるはずなんです。これが届く人には届く。食える人には食える。納豆みたいなものなんでしょうね、僕の小説は」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出