「ミッドナイト・バス」伊吹有喜著
■16年前に別れた妻と深夜バスで再会
利一は郷里の新潟で深夜バスの運転手をしている。姑と合わなかった妻の美雪は16年前に出ていき、今は娘の彩菜と2人暮らしだ。かつての上司の娘、志穂を連れて帰宅すると、志穂のために新調した布団に東京で働いているはずの息子・怜司が寝ていて、志穂は事情を察して帰った。ある日、新潟行きのバスに発車間際に乗車した女がいた。美雪だった。乗車券を受け取ったときに触れた美雪の指は冷たく、彼女が下車した後、真珠のイヤリングが片方落ちていた。それぞれの事情を抱えた家族の再生を描く。
(文藝春秋 1800円)