原発事故後の自主避難者や放射線への感受性が高いとされる子どもを救うことを趣旨として作られた「子ども・被災者生活支援法」が、なぜ、どのように骨抜きにされたのかを検証したリポート。
同法は理念だけを定め、被曝線量の基準や支援対象地域などの中身を決める基本方針の策定は、復興庁に委ねられた。だが、復興庁は成立から1年が経ってもその方針案を明らかにしなかった。そんな中、著者は同庁で被災者支援をしていた官僚が匿名で発信していた暴言ツイッターをスクープ。関係者や現場を取材して、方針案策定を先延ばしにする政府の思惑を明らかにする一方で、被災者支援のあり方を問う。
(岩波書店 780円)