「若者はなぜ『決めつける』のか」長山靖生氏
「大人も若者も、なぜ決断するかというと、決めないと行動できないからです。それ自体は悪いことではありません。問題なのは、決断したことに自己責任論がついてくるようになったことです。もともとは、投資などを繰り返してきた財団や政府諸機関など組織に対して責任を問うたものだったのに、いつのまにか問題がすり替えられ、個人が自己責任を取らされる方向へと追いやられたんですね。
しかし、責任を取るには、真に実行に伴う諸権限が必要です。若者にそれがあったと言えるかは大いに疑問です。個人、ひいては若者に迫る自己決定・自己責任は、砂漠に置き去りにして、どこへでも自由にどうぞと言うようなものですね」
そして若者自身も、自分には能力がないことを認めたがらず、そのため自己責任を問われるとそれを担い得ると考える“負の連鎖”が起きていると著者は言う。
「決断することと、決めつけることは似て非なるものです。決めつつも、ときには疑い、修正しながら進んでいくしかありません。今は誰にとっても生きづらい世の中です。犯人捜しをするのではなく、それぞれの立場の『仕方なさ』を理解し合いたいですね」