「親子共依存」尾木直樹氏
そんな学生でも、以前なら社会で鍛えられてまともな社会人に成長することができた。ところが今は社会が〈ずぶずぶ〉になっている。
「昔だったら子どもを大学に入れた時点で、将来の見通しが立つから親は手を離した。だけど今は社会に委ねることができないから、抱え込みになっている。もうひとつは、3・11以後、やはり家族は一緒に住まなきゃという雰囲気が強くなってきた。だから、1時間半以上かけて実家から通学している学生が多い」
親子がべったりになる一方で、社会的なつながりや地域のつながりがなくなっている。
「昔はお祭りの時などが男の子にとって性教育の場だったのに、そういう場がなくなった。友達とLINEでつながっていても本当のことは言えないから、相談相手はママになる。今はツールがいっぱいあって世界に発信できるのに、そういうグローバルな目を持たない」
本書の帯には親子関係が健全かどうかチェックする項目が載っているので、確認してみよう。
「自分たちはおかしくないと思っていても、例えば、アメリカだったらどうか、というグローバルな視点を持てば、おかしいと気づくと思います。これはもう日本が沈没すると恐れて、私が愛国心から書いた本です」