「多数決を疑う社会的選択理論とは何か」坂井豊貴著
多数決は、本当に人々の意思を適切に集約できるのか。15年前のアメリカ大統領選挙では、最有力候補が第3の候補の出現によって票を奪われ、ブッシュ候補が漁夫の利を得て当選。多数決は「票割れ」に非常に弱く、多数側の判断を尊重できなくなる。社会制度の根幹を揺るがす多数決の仕組みを検証しながら、社会的選択理論の視点から人々の意思をよりよく集約できる方法について考察した問題提起の書。
フランスで18世紀に生まれた集約ルール、ボルダルールや、そのボルダルールの批判から生まれた「最尤法」など、各理論の長短を解説。憲法改正などの話題も取り上げながら、よりよい選び方のルールを考える。(岩波書店 720円+税)