「格差大国アメリカを追う 日本のゆくえ」中原圭介氏
もうひとつの原因が、株主資本主義だ。アメリカの企業が重視するのは、1株当たりの利益の増加である。株主への還元のためには、大量のリストラや過酷な賃下げも当たり前。労働者はどんどん貧しくなるという仕組みだ。
「庶民から見れば、アメリカの経済政策は失敗以外の何物でもありません。そして、そんなアメリカ型の新自由主義を信奉し、インフレ政策と株主への利益還元強制を真似ようとしているのがアベノミクス。少し考えればその誤りは分かるはずなのに、それにまったく気付いていないのが現政権なのです」
安倍政権を放置したままでは、庶民に明るい未来は訪れない。(朝日新聞出版 1500円+税)
◇なかはら・けいすけ 1970年、茨城県生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ」で活動。“もっとも予測が当たる経済アナリスト”としても評価が高い。「2025年の世界予測」など著書多数。