「イルカ漁は残酷か」伴野準一氏
イルカ漁には、食肉としての漁と、漁師が捕る魚を食べる害獣としての駆除、水族館に依頼されて生きたままのイルカを捕獲するものの3種類がある。
「人間と同じ哺乳類で知能も高いイルカを殺すのはおかしいという抗議に対して、日本独自の文化だという反論もありますが、現在のような追い込み漁が始まったのは明治時代からで、そんなに古いものではないんです。イルカ漁をめぐる対立は、単なる感情的な対立に過ぎません。今はイルカの惨殺問題と絡めて議論されていますが、イルカの屠殺をやめれば、トラやクマが動物園で飼われていること、水族館でイルカを飼育することを冷静に比較してどうなのかという公平な議論が、初めて可能になると思いますね」
このまま捕獲し続ければ、水族館に売るイルカも食肉用のイルカも枯渇することは見えている。シーシェパードに反論している人も、イルカを取り巻く状況を把握しているわけではない。
「イルカ漁の歴史があろうとなかろうと、それとは関係なく今、イルカ漁を資源管理的、動物福祉的に見てどうするかということを、考えなくてはならないのではないでしょうか」