「世界の美しい階段」エクスナレッジ編
改めて見ると、それぞれの空間に合わせてデザインされた階段は、なんとも見応えがあるものだと再認識させられる。
9世紀に建築されたインド西部の巨大な階段井戸「チャンド・バオリ」は、井戸の三方が13階層、3500段もの階段で覆い尽くされ、その景観はコンピューターゲームの中に入り込んでしまったかのような錯覚を見る者に与える。
他にもエクアドルの巨大な滝「パイロン・デル・ディアブロ」に接するように設けられた「世界でもっとも怖い階段」、コロンビアの高さ200メートルもの巨大な岩「ピエドラ・デル・ペニョール」の隙間に縫い目のように設けられた650段の階段などの大自然に刻まれた「絶景の階段」から、グラフィックアートのようなアメリカの石油備蓄タンクの点検用階段や、花まつりに合わせて花や緑の植木鉢で絵を描いたイタリア・シチリア島の大階段、階段全体をキャンバスにして女性の絵が描かれたフランスの古いたばこ工場などの「街角の階段」まで、148もの階段が堪能できる。
東京の赤坂サカスにある世界最大級の大階段LEDビジョンなど最先端の階段や、ジェットコースターのレールの上を歩くような体験ができるドイツの立体アートなどユニークな階段も紹介されるのだが、蹴り込みの部分に詩句が1行ずつ書かれたイタリアのとある町の名もなき小さな階段にも心が奪われる。