「米軍医が見た占領下京都の600日」二至村菁著
1947年、戦争で疲れはて、京都の人々は飢えていた。そこに25歳のアメリカ人軍医が赴任してきた。グリスマン軍医中尉は中国大陸への赴任を希望していたのだが、送られたのは京都だった。京都では性病が蔓延していた。貧農の娘たちが特殊飲食店という名の売春施設で働かされて、特殊飲食店の経営者はボロもうけしていたのに、売春婦の性病検査費は京都府庁が払っていた。これは「花柳病予防法」で決まっているという。軍医はたびたび〈性病学会〉の豪勢な宴会に招かれたが、〈性病学会〉というのは、売春施設の経営者組合だった。米軍医が見た占領下の京都を描くノンフィクション。(藤原書店 3600円+税)