ニセ科学を見破ろう編

公開日: 更新日:

 ところが、ピアレビューを担当するのはその分野に詳しいピア(仲間)たちなので、ほとんど〈同窓会〉のようになってしまう。しかも、一流大学のグループが3年に1回、大規模な研究計画を取ることが慣習化しているらしい。

 査読を担当するのも同じ分野の研究者なので、過激な批判や質問はしにくい。だが、いちばん重大なことは、論文の著者が偽のデータを入れたとしても知りようがないことだ。例えば、去年、厚労省が発表したギャンブル依存症の調査でも、パチンコやスロットマシンをした人が延べ人数で報告されているが、一人の人が重複していて実数より多くカウントされている可能性がある。査読は意識的な不正に対しては無力なのである。

 問題は研究者だけではない。文科省のキャリア官僚にも、自分が担当しているときに「新しい画期的な業績を残したい」という下心がある。これではジャッジマンというよりサポーターである。

 では、追試で論文の内容を再現することで検証すればいいではないか。

 しかし、追試をする研究者からみれば、他人の研究の検証をするために時間を使うよりも、自分の研究に時間を割きたいのが人情だ。しかも、他人の出した結果の再現は難しい。論文を書いた研究者は、自分の作りだした物質を他の研究者が作っている可能性を考慮して、研究・実験記録ノートには重要なことは書かないこともあるからだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動