ニセ科学を見破ろう編
ところが、ピアレビューを担当するのはその分野に詳しいピア(仲間)たちなので、ほとんど〈同窓会〉のようになってしまう。しかも、一流大学のグループが3年に1回、大規模な研究計画を取ることが慣習化しているらしい。
査読を担当するのも同じ分野の研究者なので、過激な批判や質問はしにくい。だが、いちばん重大なことは、論文の著者が偽のデータを入れたとしても知りようがないことだ。例えば、去年、厚労省が発表したギャンブル依存症の調査でも、パチンコやスロットマシンをした人が延べ人数で報告されているが、一人の人が重複していて実数より多くカウントされている可能性がある。査読は意識的な不正に対しては無力なのである。
問題は研究者だけではない。文科省のキャリア官僚にも、自分が担当しているときに「新しい画期的な業績を残したい」という下心がある。これではジャッジマンというよりサポーターである。
では、追試で論文の内容を再現することで検証すればいいではないか。
しかし、追試をする研究者からみれば、他人の研究の検証をするために時間を使うよりも、自分の研究に時間を割きたいのが人情だ。しかも、他人の出した結果の再現は難しい。論文を書いた研究者は、自分の作りだした物質を他の研究者が作っている可能性を考慮して、研究・実験記録ノートには重要なことは書かないこともあるからだ。