ニセ科学を見破ろう編
「科学者はなぜウソをつくのか」小谷太郎著
アマチュア考古学者の〈神の手〉が何十万年も昔の地層から石器を掘り出した。日本に世界最古の原人文化があったのだ。東京都教育庁の主任学芸員は、火砕流に度々襲われている地域で石器が発見されていること、発見された石器が単品で、石器を作った形跡がないことなどに疑念をもったが、その意見は注目されなかった。検証する立場の自然科学者も解釈に困る部分を見落とし、学説に合う点だけ拾って前期旧石器遺跡という説を支持した。だが、毎日新聞の取材班の隠しカメラが〈神の手〉がひそかに石器を埋めている場面をとらえ、捏造が明らかになった。
科学史に残る8件の〈過ちの瞬間〉を解説。
(インプレス 1600円+税)