「たんぽぽ団地」重松清著
消えゆく団地を舞台にタイムトラベル
映画監督の小松は、子役だった40年前に主演したドラマのロケで使ったつぐみ台3丁目団地が年内で取り壊されることを知る。「たんぽぽ団地」のタイトルで放映されたドラマは、団地の1棟が未来からやってきたタイムマシンという設定だった。スランプが続く小松は、団地を舞台にその続編を撮ることに。
一方、小学6年の杏奈はゴールデンウイークに父親の直樹に連れられ、同団地で一人暮らしをする祖父の徹夫を訪ねる。直樹は連休中、徹夫と団地を退去後のことを話し合うつもりだった。杏奈たちは、団地の入り口の急坂で直樹の同級生だった智子の一家と出会う。
消えゆく団地を舞台に40年の時空を行き来しながら展開する長編小説。(新潮社 1600円+税)