ニュースの裏側が分かる地政学本特集
「宗教・地政学から読むロシア」下斗米伸夫著
今、国際関係は根本的再編成を迎えているが、その再編成を促す要因として躍り出ている国がプーチン大統領のロシアだと著者は言う。
2014年のウクライナ危機、それに続くロシアによるクリミア併合は、ロシアと欧米との関係に鋭い緊張をもたらし、結果的にウクライナ危機が引き金となってEUの亀裂や、スコットランド独立の動きなどの玉突き現象を引き起こしていると指摘。そしてウクライナ危機の最大の要因は、実は宗教であり、1000年にわたるこの地での宗教的経緯を抜きには今のロシア、あるいはウクライナとの特殊な関係は理解ができないという。
ウクライナ問題の根源にまでさかのぼり、ロシア政治の深層を、文明論的・宗教的アプローチで読み解いたテキスト。(日本経済新聞出版社2800円+税)