「不正に走る普通の人たち」前田康二郎氏
「日本の組織は人間関係が密であり、また社内の不正は内々に処理されがちです。“普通の人”ほど、自分が抵抗することで関係ない人まで巻き込むのではないか、事を大きくしてしまうのではないかと考える。気づいたときには断りきれず、不正にはまってしまうわけです。自分の手を汚したくない人は、そんなタイプの人を狙って囲い込んでくるものなのです」
人が良くて向上心が強いタイプの人も狙われやすい。まずはその人の目の前で、「困ったなぁ」「誰かが解決してくれないだろうか」などと同情心をあおるような言い回しをする。これに対して「私が手伝いましょうか」と言い出したらしめたもの。いざというとき首謀者は、直接指示した覚えはないと言って、逃げ切る算段ができている。
家庭があり簡単には身動きが取れない、おとなしい、口が堅いなどの特徴を持つ人も、不正の首謀者にとっては自分の手先として魅力的だ。自分は絶対に不正に関わりたくないが、狙われやすいタイプだと思う人は、正反対のキャラクターを演じてみることをお勧めすると著者。
「家族構成は変えられませんが、不正の首謀者にとっての危険人物になればいいのです。例えば、大きい声で大きいリアクションをする。“ちょっと話が……”と言われたら、“えっ! 何ですか!”“話って何ですか!”など周囲が振り向くほどの反応をしてみてください。“この話知ってますか!?”と頻繁に噂話をして、口が軽いタイプと思わせるのも有効です。バカバカしいと思われるかもしれませんが、“こいつは不正には使えない”と思わせることは、最も円満に不正から逃れる方法です」