北朝鮮の危険な動き 先入観にとらわれない真実の姿
「金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日」牧野愛博著
北朝鮮で流布する1冊の伝記。そこには「天才」金正恩の伝説が多数掲載されている。
たとえば、初めて車を運転したのが3歳のとき。8歳になると一人で60キロ以上のドライブをしたという。10代で古今の名将軍の理論を把握し、留学先のスイスから帰国するやわずか3年で軍事学の粋を極めたという。そんな神格化の一方、外交実績はほとんどなく、対中牽制をねらった14年の訪ロ計画も直前でキャンセルになり、無手勝流に国際社会は呆れた。また対米外交ではやたらと人質作戦に出るが、トランプ政権に対しては出方をはかりかねて沈黙を守っているのが現状のようだ。著者は朝日新聞ソウル支局長。(講談社 840円+税)