北朝鮮の危険な動き 先入観にとらわれない真実の姿
「父・金正日と私-金正男独占告白」五味洋治著
スパイ映画もどきの手口で暗殺された金正男。本書は04年に彼と偶然、北京の空港で遭遇し、それを機に独占インタビューを果たした東京新聞記者によるルポ。メールのやりとりは150通以上に上り、長時間の独占インタビューも2回にわたる。その詳細な記録が本書。12年にいったん単行本化され、昨秋文庫化された。著者によると何かと評判のよくない金正恩に手を焼く中国も、正男を保護することで「おまえの代わりはいるのだ」という無言の圧力になるのを計算済みなのではないかという。とすれば今回の正男暗殺は“中国カード”を排除するための正恩必死の一手ということになるだろう。
ギャンブル好きで東京ディズニーランドマニアの正男は、もう永遠に戻ってこない。(文藝春秋 700円+税)