「希望の国の少数異見」森達也著

公開日: 更新日:

「自分たち日本人は個が弱いということをもっと徹底して自覚したほうがよい。ブームやベストセラーが世界一生まれやすい国との説があります。みんなが買うから自分も買う。みんなが読むから自分も読む。同調圧力がとても強い国です」

 とりわけ近現代史において、日本は個が弱いからこそ、いろいろ間違いを犯してきた。たとえば、真宗の門主が信徒たちに布告した文書があるが、悪い英米や中国を懲らしめて生まれ変わらせてあげようといった内容で、まさしくオウムの「ポアの思想」そのもの。そうした過去を自覚しているからこそ、今も安全保障法制や改憲に反対し続けている。

 そして著者は「負い目」を持つというのは大事なことである、という。

 オウム真理教のドキュメンタリー映画「A」などを発表してきている映像作家の著者が、ライターの今野哲男氏との対談を交えながら、「底が抜けたような世界」の状況と渡り合い、同調圧力に抗する方法論を探る論考。

(言視舎 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  2. 2

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  5. 5

    パワハラ告発されたJ1町田は黒田剛監督もクラブも四方八方敵だらけ…新たな「告発」待ったなしか?

  1. 6

    矢沢永吉「大切なお知らせ」は引退か新たな挑戦か…浮上するミック・ジャガーとの“点と線” 

  2. 7

    中日井上監督を悩ます「25歳の代打屋」ブライト健太の起用法…「スタメンでは使いにくい」の指摘も

  3. 8

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 9

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  5. 10

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは