「希望の国の少数異見」森達也著
「自分たち日本人は個が弱いということをもっと徹底して自覚したほうがよい。ブームやベストセラーが世界一生まれやすい国との説があります。みんなが買うから自分も買う。みんなが読むから自分も読む。同調圧力がとても強い国です」
とりわけ近現代史において、日本は個が弱いからこそ、いろいろ間違いを犯してきた。たとえば、真宗の門主が信徒たちに布告した文書があるが、悪い英米や中国を懲らしめて生まれ変わらせてあげようといった内容で、まさしくオウムの「ポアの思想」そのもの。そうした過去を自覚しているからこそ、今も安全保障法制や改憲に反対し続けている。
そして著者は「負い目」を持つというのは大事なことである、という。
オウム真理教のドキュメンタリー映画「A」などを発表してきている映像作家の著者が、ライターの今野哲男氏との対談を交えながら、「底が抜けたような世界」の状況と渡り合い、同調圧力に抗する方法論を探る論考。
(言視舎 1600円+税)