「男と女」の真理を探る本特集
「男と女の品格。」伊集院静著
男にとって女は理解不能な存在。永久に分かり合えない生き物だと感じることもある。しかし、それはこっちのセリフだと女も言うだろう。そんな相いれない関係の男と女の間に問題が発生しないワケがない。今回は、男と女の真理を探る5冊を紹介――。
週刊文春の大人気連載「悩むが花」に掲載された人生相談から選りすぐった、伊集院静流の名言苦言を収録した本書。
自社の受付嬢を愛人にしたいが、どう攻めるのがよいかと相談する58歳の会社社長には、恋愛の基本は相撲と同じで、押しと突きが大切であるとアドバイス。その一方で、小技を使えば勝負のスケールが小さくなり、大技で返される。大技を女房が放てば、地位も名誉も何もかもなくす恐れがあると、そっと注意することも忘れない。
普段は真面目でおとなしい夫が、夜中にひとりで暴言を吐く現場を目撃してしまい、自分は何をしてやれるのかと悩む25歳の新妻には、男にはつらいときもあると説明。そして、見ぬふり、聞こえなかったふりを体得することも夫婦には大切であると、愛情の形を優しく説いている。
他にも、男の本性は失敗することで見えてくる、女をなめてかかると命を取られるなどの至言も満載。
男と女の流儀を体得するにはもってこいの指南書だ。(文藝春秋 926円+税)