「男と女」の真理を探る本特集
「『うまくいく夫婦、ダメになる夫婦』の心理」加藤諦三著
日本精神衛生学会顧問であり、半世紀にわたってニッポン放送「テレフォン人生相談」のパーソナリティーを務めている著者が、夫婦関係の本質を説く。
表面上はうまくいっているように見えても、心が触れ合っていなければやがて破綻を来す。心が触れ合わない相手とではどうしても話がすれ違い、仮性コミュニケーションでは感情の交流ができず、真の信頼関係が築けないためだ。
心の深い部分で触れ合うには、日々の「おしゃべり」が重要な鍵を握る。サラリーマンの得意分野である、目的を持った情報交換ではない。おしゃべりとは、目的のない情緒の交換だ。
妻に「雨が降っているね」と言われて、「見れば分かる」と答える夫は少なくない。「今日は暑いね」に「夏だからな」と答えたのでは、情緒的結びつきは築けないのだ。夫が無駄と感じがちなおしゃべりだが、これを積み重ねることこそが心の触れ合いを強める。
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