「悪の箴言」鹿島茂著

公開日: 更新日:

「凡人は、概して、自分の能力を超えることをすべて断罪する」(ラ・ロシュフコー箴言集)

 世界の1%の金持ちが99%の貧乏人を支配しているというが、才能の格差の比率もほぼ同じである。だが、所得格差と違って、99%の凡人が1%の非凡人を支配している。民主主義というのは99%の凡人の考えで決定されることが多いからだ。

 シドニー・ルメット監督の「十二人の怒れる男」のように1%の非凡人が99%の凡人を説得して真実に目覚めさせるのが民主主義だが、実際にはトランプがアメリカの大統領になるなど、メディオクラシー(凡人支配)が21世紀の世界を覆いつつある。他にパスカルなど、著者が集めた「言葉の短刀」の切れ味が堪能できる一冊。

(祥伝社 1800円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…