「絶滅危惧の地味な虫たち」小松貴著
日本に生息する昆虫のうち現在、環境省のレッドリストに掲載されているのは868種。しかし、希少動物の保護活動で注目を集めるのはチョウやトンボ、大型甲虫ばかりで、それらを除いた約700種の絶滅危惧種の昆虫は見向きもされていない。
そんな絶滅危惧種の中でも殊更に世間で話題に上らない種を取り上げ、その現状を解説しながら、彼らへの惜しみない「愛」を語る昆虫エッセー。
地下や洞窟などにすみ複眼が縮小・退化したため、ただの悪口にしか聞こえない名前の「メクラチビゴミムシ」など、「より小さく、より目立たなく、より知られていないもの」を中心に、さまざまな昆虫を紹介しながら、身近な環境にいかに多くの絶滅危惧種が存在しているかを説く。(筑摩書房 950円+税)