「古事記異聞 鬼棲む国、出雲」高田崇史著
3月、松江市の揖屋神社の巫女・陽子が他殺体で見つかり、島根県警捜査1課の藤平らが捜査に乗り出す。古事記に「この世とあの世の境目」として書かれる「黄泉比良坂(よもつひらさか)」と記される現場には、死後に切られた陽子の長い髪が散乱し、遺体の左の眼球には金色の簪(かんざし)が深々と突き立てられていた。
同じころ、大学院への進学を決めた東京の女子大生・橘樹雅は、4月から通う民俗学研究室に挨拶に行く。指導教官の御子神は、出雲を研究テーマにすると告げた雅に「出雲国風土記」に関する最大の謎を知っているかと問いかける。文献を読み込んでも答えが見つからない雅は、出雲にフィールドワークに出かけることに。
出雲神話の真相を描き出す歴史ミステリー。
(講談社 880円+税)