「沖縄オバァの小さな偽証」友井羊著
舞台は沖縄本島北部にある法テラス(日本司法支援センター)。金銭的に弁護士に依頼するのが困難だったり、過疎地域のため弁護士がいないといった、司法弱者のための駆け込み寺的な存在だ。
相談を受けるのは、東京の大手弁護士事務所で活躍していたが、訳あってこの法テラスで働いているクールビューティーの阿礼沙英子。補佐役の事務員・大城は、地元のオジィ、オバァたちの方言の通訳担当でもある。
不定愁訴に悩む嫁を離婚させようとする門中(沖縄独特の父系血縁集団)本家の舅姑、沖縄は飲酒運転摘発全国ワーストワンだが、お酒を1滴も飲んでいないのに酒気帯び運転で逮捕された男、トートーメー(位牌)の継承を巡って争う沖縄そば屋の兄弟といった、沖縄ならではの事件を、鋭い直感と決断力に富む沙英子と、オジィ、オバァたちとすぐに仲良くなる特技を持つ大城とのコンビが、見事に解決していく。
沖縄の風俗や因習がたっぷり詰め込まれた、新スタイルのリーガルサスペンス。(光文社 1700円+税)