「沖縄オバァの小さな偽証」友井羊著

公開日: 更新日:

 舞台は沖縄本島北部にある法テラス(日本司法支援センター)。金銭的に弁護士に依頼するのが困難だったり、過疎地域のため弁護士がいないといった、司法弱者のための駆け込み寺的な存在だ。

 相談を受けるのは、東京の大手弁護士事務所で活躍していたが、訳あってこの法テラスで働いているクールビューティーの阿礼沙英子。補佐役の事務員・大城は、地元のオジィ、オバァたちの方言の通訳担当でもある。

 不定愁訴に悩む嫁を離婚させようとする門中(沖縄独特の父系血縁集団)本家の舅姑、沖縄は飲酒運転摘発全国ワーストワンだが、お酒を1滴も飲んでいないのに酒気帯び運転で逮捕された男、トートーメー(位牌)の継承を巡って争う沖縄そば屋の兄弟といった、沖縄ならではの事件を、鋭い直感と決断力に富む沙英子と、オジィ、オバァたちとすぐに仲良くなる特技を持つ大城とのコンビが、見事に解決していく。

 沖縄の風俗や因習がたっぷり詰め込まれた、新スタイルのリーガルサスペンス。(光文社 1700円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  2. 2

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    巨人・田中将大“魔改造”は道険しく…他球団スコアラー「明らかに出力不足」「ローテ入りのイメージなし」

  5. 5

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  1. 6

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 7

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 8

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 9

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  5. 10

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…