「すぐ死ぬんだから」内館牧子著
78歳の忍ハナは、夫の岩造と東京・麻布のマンションで2人暮らし。代々続く酒屋を経営していたが、今は長男の雪男に譲り、好きなように生きている。
そんなハナのモットーは見た目ファースト。60代に入ったら、絶対に実年齢に見られてはならない、とオシャレに余念がなく、先日もシニア雑誌に声をかけられグラビアページに掲載されたばかりだ。
ところが、「ハナと結婚してよかった」が口癖の岩造が突然、硬膜下血腫で亡くなったことで生活は一変。一時は生きる意欲を失ったハナだが、岩造に隠し子疑惑が浮上し、娘や息子を巻き込んだ調査へと進展していく……。
ベストセラー「終わった人」の著者による終活小説。ハナの毒舌本音が痛快でクスリと笑える。
(講談社 1550円+税)