「漂流怪人・きだみのる」嵐山光三郎著

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 戦前、ファーブルの「昆虫記」を完訳、戦後はベストセラー「気違い部落周游紀行」を執筆するなど、さまざまな顔を持つきだみのる氏の評伝。

 1970年、雑誌の編集者だった著者は原稿依頼のため、氏に会いにいく。異臭を放つ氏の部屋は今でいうところのゴミ屋敷だった。やがて著者は、氏の取材に同行して日本各地の小さな村を巡るようになる。氏のそばにはいつも美少女・ミミくんがいた。彼女は氏の実子らしいが、本人はそのことを知らない。見た目は巨漢の丸刈り頭で、脱獄囚の気配さえ漂う氏は並外れた食欲で、猥談を好み、かと思えば哲学を語り、大杉栄らアナキストとの思い出を語る。

 晩年の5年間を共にした思い出を語りながら、その破天荒な生涯と怪人ぶりを伝える。

(小学館 610円+税)


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