「東京カジノパラダイス」楡周平著
下半身スキャンダルで会社を辞めた元商社マンの杉田は2年後に開業するお台場カジノの運営会社カイザーに転職。上司のオリバーによると、パチンコ客を基にした政府の試算では、カジノの運営が行き詰まるのは明らかだという。
カジノを黒字にするためには、売り上げの8割を占める世界のVIPを日本に集める必要がある。多くの候補から杉田が選ばれたのは、遊び好きが見込まれたからだ。官僚たちが採算度外視で無理難題を押し付けてくる中、オリバーの秘書・柏木がカジノの目玉にサイコロの「丁半」をしてはどうかと言い出す。杉田は反対するが、オリバーは乗り気だ。
間もなく誕生するであろう、日本のカジノの舞台裏を先取りしたようなエンターテインメント長編。
(新潮社 670円+税)