「ウェディングプランナー」五十嵐貴久著
ウエディングプランナーの仕事とは、「結婚するカップル、主に新婦のリクエストを聞き、結婚式や披露宴のプランを立案し、それに基づいて関係する各部署の調整を担当する」ことだと本書にある。
結婚式は新婦のためにあるという常識が根づいたのは80年代の中ごろで、必然的にウエディングプランナーも女性が多いという。新婦、つまり女性の気持ちは女性のほうがわかるだろうということだ。
本書の主人公・草野こよりは、ベストウェディング社のウェディングプランナー課に所属する29歳だが、そのウェディングプランナー課も10人中8人が女性。というわけで、本書ではウエディング業界の裏側が克明に描かれていく。
結婚が近づいてくるとマリッジブルーになる女性もいて、そういう彼女たちを励ますのもウエディングプランナーの仕事であり、そういうふうに密接で濃厚なつながりを持つので、結婚式が終わってからも親しい友人になるケースは少なくないようだ。
本書の問題は、自身の結婚が3カ月後に迫ってきた主人公のこよりが、マリッジブルーになってしまうこと。そこに、フランスに修業に行っていた元カレのシェフが帰国してきて再会するから、ややこしい。仕事もしなければならないし、しかし、心は揺れ動くし、「さあ、こより、どうするんだ」と読んでいるこちらも気が気でない。ヒロインが無事に幸せに着地するのかどうかは読んでのお楽しみ。 (祥伝社 1600円+税)