「〈賄賂〉のある暮らし」岡奈津子著
冷戦終結から30年、東欧諸国は社会主義時代より腐敗が深刻化している。カザフスタンでは国営企業で働いていた人々は失業し、食べるために商売を始めた。商人は近隣諸国で割安な商品を購入し、国内で売りさばくが、買い出しに行くたびに税関や警察に賄賂を払わせられる。規則が頻繁に変更されたりするため、守ることが難しく、ルール違反を理由に袖の下を要求されるのだ。
税関だけではない。国境警備隊も稼いでいる。ウズベキスタンとの国境地帯では徒歩で国境を越えられるが、狙撃されるリスクを避けるため、国境警備兵と組んだ仲介人に20ドル支払う必要がある。贈収賄が蔓延し、エリート層が富を独占するカザフスタンの現状をリポート。
(白水社 2200円+税)