「四国遍路の世界」愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センター編
外国人遍路が増えるなど世界からも注目を集める四国遍路を、研究者がそれぞれの視点から論じた講義集。
まずはその成り立ちから。信仰の世界では、約1200年前に弘法大師空海が四国霊場、88カ所を開創し、四国遍路が始まったとされる。しかし、空海が88カ所を巡り歩いた事実は確認できず、近年の研究では、平安時代に各地を遍歴して修行していた僧侶=聖たちによる「辺地(へじ)修行」がその原型といわれる。
以降、現代のような四国遍路が成立していく過程を詳述。さらに、江戸時代の日記にみられる当時の遍路の様子や、古典文学に描かれる四国遍路、世界各地の巡礼との比較など、全長1400キロに及ぶ四国遍路の奥深い世界を案内。
(筑摩書房 880円+税)