「東京の美しい本屋さん」田村美葉著
ネット通販や電子書籍の登場で、昔ながらの書店は消える一方だが、時代にあらがうように新しいスタイルの書店が続々と現れつつある。そんな個性あふれる書店を紹介してくれるガイドブック。
上野駅の東側、昔ながらの面影が残る一角の元工場跡を利用して開店した「ROUTE BOOKS」は、園芸店と見間違えるほどに店内に植物があふれ、古材を組み合わせたような本棚の他にも、無造作に置かれた古ぼけた木箱や階段下の小さなスペースなど、思わぬ所にも本が置かれている。工務店がプロデュースした同店は、ほとんどの家具や什器が廃材や拾ってきたものをリメークしたもので、本はもちろん植物を含め、それらすべてを販売。居心地の良い店内で、こだわりのコーヒーも楽しむことができる。
西荻窪の静かな住宅街にある「松庵文庫」は、築90年の古民家で営業。元住人の音楽家夫妻が手放すことを耳にした店長が、この家を守りたいと手を挙げたそうだ。当初はシェアハウスにするという計画もあったのだが、樹齢100年のツツジの木がある中庭を生かすために、カフェやギャラリーを兼ねた現在の空間になった。
繊維街としても有名な日暮里のフェルト工場の跡地に建てられた「ひぐらしガーデン」にはパン屋さんと本屋さんが同居。広い中庭でパンを食べたり本を読んだり、来訪者は思い思いにくつろぎの時間を過ごす。
その他、伝説のジャズバーの空間をそのまま残したブックカフェ「6次元」(荻窪)や、「新しい過去の発見」をコンセプトに、過去の見方が変わることで新しい発見ができる本を集めた「nostos books」(世田谷)など。愛書家、愛読家なら一度は訪ねてみたい書店ばかり33店を網羅。
(エクスナレッジ 1600円+税)