「番士 鬼役伝 一」坂岡真著
元禄16年、千代田(江戸)城に登城した老中の秋元但馬守が、城門を守る番士の与力・入江に剣の腕の立つ者を持組から3人ほど選ぶよう命じる。話を耳にした番士の伊吹求馬は、御前試合が近々催されるのではと勘繰り胸が高鳴る。
鹿島新當流を究めた剣の師・慈雲から、無外流や金剛杖術も学んだ求馬は、他流試合をしたことがなく、おのれが強いのかどうかも分からない。さらに、500人いる持組の中から選ばれるためには、小野派一刀流の免許皆伝である与力の息子・修也も倒さなければならない。そんな中、求馬は友人の妹・咲希が、修也とその仲間にかどわかされ連れ去られたと聞き、助けに向かう。
人気「鬼役」シリーズの前日譚(たん)で、主人公を輩出した矢背家誕生の秘密に迫る文庫書き下ろし新シリーズ第1弾。
(光文社 726円)