「死にふさわしい罪」藤本ひとみ著
駅で叔父と待ち合わせした和典は、ストリートピアノの演奏に心を引かれた。ラ・カンパネッラだ。30代初めくらいの女性が、弾き終えるとピアノに一礼して立ち去った。和典は母の親族が毎年クリスマスに集まる伯父の別荘に、叔父と準備にきた。近くの沼は平家の落人が財宝を隠したという伝説の地だ。和典が入浴していると、庭で物音がする。照明のスイッチを入れると、そこにいたのはあのラ・カンパネッラの女性だった。彼女は隣家の住人で、キンモクセイの香りに引かれて庭に入ったという。彼女の夫は「素数の美」というブログを書いていたが、1年前に失踪して行方不明だ。
数学の天才の高校生が失踪事件の謎を解明する。
(講談社 1650円)