「社会のなかの『少年院』」少年の社会復帰に関する研究会編
少年院は非行少年が変わることを求め、それを支援する場所である。少年院の法務教官は使命感が強いため、「絶対に少年院の中の教育で更生させる」という自己完結主義に陥りがちだ。病気や障害がある少年には福祉的支援が行われてきたが、情緒障害や発達障害の疑いがある「ボーダーライン」の少年が増えている。また、背景に貧困や虐待があるケースが多いことも視野に入れて、福祉的支援の対象を広げていくことが求められる。
少年院を出た後の社会復帰の困難を乗り越えるために、少年の「居場所と出番」を確保することが不可欠で、在院時から各機関と連携して断絶のない支援をすることが必要である。
非行少年の社会復帰のための提言の書。
(作品社 2970円)