「鬼 文豪怪談ライバルズ!」東雅夫編
大店(おおだな)で奉公中の長松は、ご隠居のお供で外出中、好物のお汁粉をごちそうしてもらうことに成功。上機嫌で家路に就くと、その日は節分で、豆をまく盛大な掛け声が聞こえてくる。
長松は、とある家から飛び出してきた異形の者に体当たりされ転倒。ご隠居は地面に落ちていた見慣れぬものを拾う。ご隠居がそれを懐にしまうと、異形の者が戻ってきて何かを探している。しらばっくれるご隠居は、拾ったのは赤鬼の角だと気づくが、返さないことに決めた。目覚めた長松は人が変わったようなご隠居の態度に驚き、赤鬼にしがみつき、彼らのすみかに連れていかれる。(泉鏡花著「鬼の角」)
他にも上田秋成をはじめ、小松左京や手塚治虫のコミックまで、「鬼」をテーマにした巨匠らの作品を編んだアンソロジー。
(筑摩書房 1210円)