「シングルマザー、その後」黒川祥子著
女性の貧困は、実は国の制度によって仕組まれたものだという。始まりは1985年、皮肉にも男女雇用機会均等法が成立した年だ。
この年、国は専業主婦が保険金を納めなくても年金がもらえるよう、国民年金における「第3号被保険者」制度を創設。さらに専業主婦やパート労働を行う妻たちへの優遇策が次々と立てられた。その背景にあるのは当時の自民党政権が、女性は男性に扶養されながら家事・育児・介護を行うという「日本型福祉社会」を目指していたからだという。
そこには未婚や離婚によるシングル女性の存在は一切、想定されていない。さらに同年には「児童扶養手当」制度も改正し、母子世帯への給付削減も行われた。
こうして用意周到に仕組まれた制度の中で、必死に働いても貧困にあえぐ当事者らの現実を伝える。
(集英社 1012円)