「スマートな悪」戸谷洋志著
スマートフォンをはじめ、われわれの周りはスマートなものばかりだ。「科学技術イノベーション政策」では、「未来社会の姿」として「超スマート社会」という言葉が打ち出されている。
必要なものやサービスが、必要なとき、必要な人に必要なだけ提供されるということが、根本的な価値観である。それは無駄なことや不要なことが一切存在しない社会である。
超スマート社会において、「課題が解決される」ことは事実だが、課題はいつでも解決されるべきものとは限らない。極端な例としては、ナチスにおけるユダヤ人問題の最終解決のように、解決されるべきではない課題もある。超スマート社会において課題が包括的に解決されるとき、解決されるべきではない課題が含まれる可能性を考える必要がある。
「超スマート社会」の新しい論点を提示する。
(講談社 1540円)