「お江戸けもの医毛玉堂」泉ゆたか著
かつて小石川養生所で名医と評判だった凌雲は、庭先に捨てられていた白犬がきっかけとなり、妻の美津と動物専門の養生所「毛玉堂」を営む。
毛玉堂には、例の白犬・白太郎に加え、黒太郎と茶太郎の3匹の犬と猫のマネキが共に暮らしている。
凌雲らは、美津の幼馴染みの仙に頼まれ、善次という少年を預かることになった。
親に捨てられたらしいがなぜか仙は事情を詳しく語らない。善次は、毎夜、夜中に目を覚まし、お化けがいると夜泣きをする。見るといつもは凌雲と一緒に寝ている白太郎が外に出て、雨戸の隙間からこちらをのぞいていた。
以来、夜中の善次の夜泣きと犬たちの外出が続き、美津は寝不足に悩まされる。(「お化け犬」)
江戸っ子と動物との絆を描く連作時代小説。 (講談社 792円)