「徳川家康という人」本郷和人著
乱世を生き抜き、最後には独り勝ちして天下人となった徳川家康だが、彼は信長や秀吉のような才能の持ち主ではなかったと著者はいう。ただ、努力を怠らない人で、生涯をかけて努力を重ねたおかげであそこまでたどり着けたのだと。大河ドラマの主人公となり、改めて注目が集まるそんな「日本最強の凡人」の実像に迫る歴史読み物。
家康が生まれた松平家は「もともと三河国を統一していた」といわれるが、それほどの大名の子だった家康が、軽々と捕らわれてあちらこちらで人質になっていたはずがないと指摘。
以降、桶狭間の戦いや清洲同盟、信長の命による嫡男信康の自害など、その生涯と史実を深掘りしながら、家康の軍事的手腕や政治・経済・外交の能力、三河家臣団の実態などを検証する。 (河出書房新社 935円)