「五戒の櫻 其角忠臣蔵異聞」小杉健治著
豪商の紀伊國屋文左衛門らと吉原で待ち合わせをしていた俳諧師の其角は、場内で旧知の仙台藩元藩主・伊達綱宗と遭遇。
10日前に殿中で起きた斬りつけ事件が話題となるが、綱宗も詳細は分からないという。俳句を通じて浅野家にも吉良家にも関わりがある其角だが、浅野がどうして吉良に斬りかかったのか、なぜ浅野だけにとがめがあったのか不可解なことばかりだ。
翌朝、吉原からの帰り道、其角をのせた駕籠(かご)かきが、すれ違った大八車から人の腕が出ていたと言い出す。来た道を引き返らせた其角は、大八車に付き添う浪人風の男に襲われる。
数日後、其角は吉原で同じ揚屋にいた御茶坊主の宗心があの日以来、行方不明だと耳にする。
芭蕉の弟子・其角が忠臣蔵の闇に迫る時代長編。
(光文社 748円)