「ルポ 食が壊れる」堤未果著
世界で進行しつつある「食のグレートリセット」を取材したリポート。
食のグレートリセットとは、近い将来の食糧危機に備える新しい仕組みづくり。環境に負荷がかかる畜産や農業を最新テクノロジーによって置き換えようという試みだ。AIが農民に代わってデジタル農業を営み、食肉や乳製品は遺伝子操作とバイオ技術で作りだし、必要な栄養も添加によって補う。そのためのルール変更も始まり、欧州では政府が畜産頭数を制限、家畜の出す温室効果ガスに課税するなどの政策が進められているという。
こうしたデジタルテクノロジーによる食と農の一元支配の拡大を危惧して警鐘を鳴らす一方で、テクノロジーとは正反対の方向性で、食と農の再生に取り組む日本の人々にもスポットを当てる。
(文藝春秋 990円)