「虐待したことを否定する親たち」宮口智恵著
児童相談所の児童福祉司を経て、NPO法人を立ち上げ、困難を抱える親と子に親子関係を再構築するための支援を行っている著者は、これまでに1000組以上の親子と向き合ってきた。
その体験から、虐待によって子どもに恐怖を与えている親自身も、周りに頼る人が誰もいない状態で、実は恐怖を抱えているという。ゆえに、子どもの安全を守るために危害を与える親から引き離す選択は間違っていないが、それだけでは子どもの幸せにはつながらないと指摘する。親を罰するだけでは何も始まらないと。
実際のケースを例に、親と子、そして支援者それぞれの視点から虐待問題を分析。親が子どもを支えられるように、誰かが、そして社会が親を支える必要性を説く。
(PHP研究所 1133円)