「神様の思惑」黒田研二著
春休み、「僕」は家族と訪れた遊園地で20年ぶりにカミさんと再会する。ベンチで休憩中、目の前の迷子に声をかけてあやしたのが園の清掃作業員のカミさんだった。
突然、話しかけられて戸惑うカミさんだが、「『殺してくれ』とあなたにお願いした少年です」と名乗ると、ようやく僕のことを思い出してくれる。カミさんは、僕が育った田舎町の公園に住むホームレスだった。あの頃、僕たちは大人の忠告を無視してよくカミさんに遊んでもらった。
そして僕が中学1年のとき、幼馴染みのトモミが体育館の倉庫で首つり自殺をするという事件が起きた。数日後、トモミにいたずらをしようとして果たせなかったカミさんが彼女を殺したという噂が広まる。(表題作)
家族への深い愛がにじみ出るミステリー集。
(講談社 792円)